Harris-Benedictの式
(ハリスベネディクト)
性別・体重・身長・年齢から基礎代謝量を計算し、活動係数とストレス係数をかけて推定必要エネルギー量を算出します。主に創傷のある場面で用いられ、医師・看護師・薬剤師・理学療法士など臨床(病院等)の現場で広く使われます。
状態 | 係数 |
---|---|
ベッド上安静 | 1.2 |
ベッド外活動 | 1.3 |
日常生活が可能 | 1.3 ~ 1.5 |
状態 | 係数 |
---|---|
日常生活・手術後(合併症なし) | 1.0 |
長管骨骨折 | 1.15~1.30 |
癌 | 1.10~1.30 |
重症感染症、多発障害 | 1.20~1.40 |
多臓器不全 | 1.20~2.00 |
熱傷 | 1.20~2.00 |
腹膜炎、敗血症 | 1.10~1.30 |
※ ハリス・ベネディクト式は、個人の性別・年齢・身長・体重に基づいて基礎代謝量(BMR)を推定する計算式です。
※ 栄養管理やエネルギー必要量の初期評価において、広く使用される汎用的な理論値です。
※ 計算結果はあくまでも目安です。体調や個人差によって異なる場合があります。
基礎代謝量とは
基礎代謝量とは、生命を維持するために最低限必要なエネルギー量のことです。
私たちが何もしていなくても、呼吸や心臓の拍動、体温維持などの活動のために体はエネルギーを消費しています。これが「基礎代謝」と呼ばれるものです。
特に健康維持やダイエット、栄養管理、スポーツ栄養の観点から、自分の基礎代謝量を把握することはとても重要です。
このツールの目的
ハリス・ベネディクトの式は、基礎代謝量(BMR:Basal Metabolic Rate)を計算する代表的な方法のひとつです。そのため、体重・身長・年齢・性別の4つの要素を使い、1日に安静状態で消費されるエネルギー量(kcal)を推定します。
この式は1919年に提唱されて以来、広く医療や栄養管理の分野で利用されています。
また、基礎代謝量に運動や生活活動のエネルギー消費を加味するためには、活動係数をかけて推定必要エネルギー量を算出します。
男性の場合 = 88.362 + (13.397 × 体重[kg]) + (4.799 × 身長[cm]) − (5.677 × 年齢[歳])
女性の場合 = 447.593 + (9.247 × 体重[kg]) + (3.098 × 身長[cm]) − (4.330 × 年齢[歳])
入力項目について
性別
基礎代謝量の計算は、男性用・女性用の異なる式が用いられています。これは男女で筋肉量や体組成が異なるためです。正確な基礎代謝量を算出するために、必ずご自身の性別を選択してください。
年齢
基礎代謝は年齢とともに変化します。一般的に年齢が上がると筋肉量が減少し、それに伴い基礎代謝量も低下します。年齢を正確に入力することで、より実態に近いエネルギー消費量を計算できます。
体重(kg)
体重は基礎代謝量の計算で最も重要な要素の一つです。体重1kgあたりの消費エネルギーを基に計算が行われるため、正確な体重を入力することが必要です。筋肉量や体脂肪率によって差が出ることがありますが、基本的な計算では体重が基準となります。
身長(cm)
身長は基礎代謝量の計算に影響します。身長が高いほど体の表面積が大きくなり、体温維持などに必要なエネルギーも増加します。そのため、正確にセンチメートル単位で入力してください。
検査結果の見方
計算結果として以下が表示されます。
●基礎代謝量(kcal /日)
基準値 × 体重 で算出された、1日の安静時消費エネルギー。
●推定必要エネルギー量(kcal /日)
活動レベル(低・中・高)に応じた、1日の総消費エネルギー量の目安。
検査結果として表示される「基礎代謝量」と「推定必要エネルギー量」は、それぞれ異なる意味を持ちます。まず、基礎代謝量とは、何もせず安静にしている状態でも消費されるエネルギー量のことです。呼吸や体温維持、心臓の動きなど、生命を維持するための最低限のエネルギー消費を示しています。
一方、推定必要エネルギー量は、基礎代謝量に日常の活動レベルを加味したもので、実際に1日に必要とされる総エネルギー量の目安です。活動レベルが高いほど、推定必要エネルギー量も増加します。
結果はあくまで推定値であり、筋肉量や体脂肪率、生活習慣、健康状態によって個人差があります。そのため、数値を参考にしながらも、日々の体調や体重の変化を観察し、適切な食事や運動計画を立てることが大切です。
もし結果に不安や疑問がある場合は、医師や栄養士など専門家に相談することをおすすめします。
注意点・補足情報
● 本ツールの結果はあくまで推定値であり、個々の筋肉量・代謝・生活習慣により前後します。
● 医療目的での利用や、厳密な栄養管理には専門家の指導を受けてください。
● 厚生労働省が公表している基準に基づいており、日本人に適した推定式です。
● より個人に適した計算式や代謝モデルについては、以下のリンクをご参照ください
→ JISS式(アスリート推奨)
→ 基礎代謝基準値┃日本人をベースにした基準値
よくある質問(FAQ)
Q. 基礎代謝と消費カロリーは違うの?
A. 基礎代謝はあくまで「安静時の消費エネルギー」で、運動や生活活動によるエネルギーは含まれません。日常生活全体の消費カロリーは、運動量を加味した(活動係数を乗じた)「推定必要エネルギー量」で考えます。
Q. 活動係数とは?
A. 日常の活動レベルに応じて、基礎代謝量に掛ける係数です。
例:デスクワーク中心なら1.5、運動習慣がある人なら1.75〜2.0など。
Q. 結果が思ったより低いのですが?
A. 筋肉量や体温、生活習慣によって実際の代謝は変動します。
あくまで平均的な基準値に基づく推定値です。
関連リンク
👉 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
👉 JISS式 基礎代謝量計算(アスリート向け)
👉 Harris-Benedict式 基礎代謝量の計算(医療者向け)
👉 基礎代謝基準値┃日本人をベースにした基準値
👉 厚生労働省|加齢とエネルギー代謝(e-ヘルスネット)
👉 厚生労働省|1日のエネルギー消費構成(PDF)